38.軽巡大淀級 ”黒部”

 改大淀型  大淀  呉工廠         昭和16年3.24 (1941)
                 仁淀  三菱長崎       昭和16年3.27 (1941)

                 黒部  横須賀工廠    昭和17年2.11 (1942)
                 鈴鹿   呉工廠        昭和17年2.13 (1942)
                 有田  舞鶴工廠       昭和17年3.06 (1942)
                 米城  室蘭工廠       昭和17年4.11 (1942)

                 雄物  大連工廠       昭和18年6.05 (1943)
                 吉野  日管鶴見       昭和18年6.30 (1943)

 【要目】 
     基準排水量9464㌧  満載排水量12,300㌧  全長192m 幅19.8m 吃水6.8m
     主機:艦本式ギアードタービ4基4軸 12万馬力  
速力33ノット 航続距離18ノットで10500浬  

 【兵装】
     装甲付き15.5㎝ × 4基(12門)  98式65口径10㎝連装高角砲×4基(8門)
     戊式40㎜連装×13基(26門)  25㎜3連装×2基

  『第一刊 7.軽巡大淀級…重巡・軽巡各1案』で発表したものの何となく間の抜けた、なにかのんびりした艦型でした。やはり、潜水艦隊旗艦用の巡洋艦を急遽普通の巡洋艦に改造しただけではしっくりこないというのが実感でした。後部に水上機用の大型格納庫を持っていたため、全体にショートノーズ、ロングテールという艦形です。どうしても前のめりの雰囲気が残るのです。日本の巡洋艦が概してショートノーズの艦型でロングノーズになったのは戦艦大和型だけでしょう。

  で、格納庫跡にはカタパルトを設けることにしてバランスを後方に持ってくる努力をしました。カタパルトの下は格納庫とし、煙突基部の搭載艇の場所には40㎜機関砲を4基積むことにしました。無論1・2番艦を除いて艦幅は3.2m増して20m弱になっておりますので後部予備司令塔を大型にするゆとりもあり、加えて1番艦の急旋回時に発生した高角砲の揚弾に支障をきたすという点も解決しております。15.5㎝3連装主砲が装甲付きで対20㎝砲弾防御を施していることは以前の発表通りですが、40㎜については戦訓で大幅に増設しました。その代り25㎜3連装機銃はわずか2基になってしまいましたが、これは単装機銃を都度載せれば解決することだと思っています。無論盾をつけて装備するわけですが・・・。

  第一刊を書くとき竣工工程表なども発表してしまったので今更変更できないのですが、大淀級は1年前倒しにしたいくらいです。少なくとも7番艦雄物(おもの)と8番艦吉野は昭和18年6月の竣工ですからちょっと遅いですね。まあ許してください。昭和18年6月には阿賀野型10隻、本級改大淀型6隻、新軽巡十勝型4隻、浅間型新重巡10隻、雲仙型重巡6隻の合計36隻が竣工していますから・・・。

 最近はCADにも慣れて色々なことが出来るようになりましたが、色々できるとかえって艦型が決まらないことが多く、これでもいっぱしの造船監のつもりで悩むのです。段々アメリカの巡洋艦に似てくる、どの艦がどんな活躍をするか考えるゆとりがなくなる、こんな時は銭湯に行って水風呂に入り頭を冷やしながらリラックスしています。この艦にももっと書きたいことがあったのですが、今はこのくらいで止めときます。次は海上護衛総隊待望の対潜・護衛空母です。