37.攻撃貨物輸送艦 ”衣笠丸”型
1.衣笠丸 (きぬがさまる) 昭和12年(1937) 07・03 三菱長崎
2.浅香丸 (あさかまる) 〃 05・13 〃
3.熱田丸 (あつたまる) 〃 06・17 横浜船渠
4.摩耶丸 (まやまる) 〃 08・07 〃
5.金華山丸(きんかざんまる) 〃 09・11 播磨造船
6.丹沢丸 (たんざわまる) 〃 10・12 浅野造船所
7.天城丸 (あまぎまる) 〃 10・23 日立因島
8.畿内丸 (きないまる) 〃 11・03 鋼管鶴見
9.東海丸 (とうかいまる) 〃 11・08 函館船渠
10.山陽丸 (さんようまる) 〃 11・15 尼崎造船所
11.北陸丸 (ほくろくまる) 〃 12・05 佐野安造船
12.関東丸 (かんとうまる) 〃 12・23 三光造船(大阪)
13.関西丸(かんさいまる) 昭和16年(1943) 01・05 大阪鉄工
14.南海丸(なんかいまる) 〃 01・12 日立因島
15.北海丸(ほっかいまる) 〃 02・09 函館船渠
16.湘南丸(しょうなんまる) 〃 03・19 尼崎造船所
17.揖斐川丸(いびがわまる) 〃 03・26 浅野船渠
18.遠州丸(えんしゅうまる) 〃 04・25 三菱江南
19.甲州丸(こうしゅうまる) 〃 04・28 佐野安造船
20.芸州丸(げいしゅうまる) 〃 04・29 鋼管鶴見
21.播州丸(ばんしゅうまる) 〃 05・08 大阪鉄工
22.三河丸(みかわまる) 〃 05・29 名古屋造船
23.紀勢丸(きせまる) 〃 06・10 三光造船
24.泉州丸(せんしゅうまる) 〃 07・02 函館船渠
25.永享丸(えいきょうまる) 〃 07・12 三井玉工場
26.永仁丸(えいにんまる) 〃 07・21 日立因島
27.延暦丸(えんりゃくまる) 〃 08・01 三菱江南
28.永和丸(えいわまる) 〃 08・17 大阪鉄工
29.延元丸(えんげんまる) 〃 08・18 尼崎造船所
30.延慶丸(えんけいまる) 〃 08・22 浅野船渠
※31~60番船については後述します。
【要目】
基準排水量6,870㌧ 満載排水量 13,560㌧ 全長146.2m 幅19m
吃水8.45m 主機ディーゼル9,720馬力 速力21.5㌩
【装備】
戊式40㎜連装機関砲×3基 25㎜3連装機銃×6基 9連装対潜噴進弾2基
大発D型×14隻 60馬力 速度8㌩ 積載重量11㌧×14隻
150㌧強/回の揚陸物量 軽戦車含む
36の君川丸に続き上陸作戦時の貨物や物資、戦車などの兵器を輸送する輸送船が必要とされ、海上輸送総隊はこれの徴用と新船の建造を開始した。1番船衣笠丸から12番船関東丸までは主に大阪商船の北米航路に就航していた有馬山丸級を徴用し、君川丸級との名前の混同を避けるため一部の艦は改名した。本級の整備は標準貨物船建造の優先順位第一位とされ、改を含め60隻を第一段階で建造することとなった。期日は1年後の昭和17年5月末である。
こんな形で攻撃貨物輸送艦“衣笠丸”級が進められたわけです。海上輸送総隊の最初の仕事が“衣笠丸”級と“君川丸”級の整備になったわけです。君川丸の運用実績を検討したところ、貨物の揚陸時間は特殊揚陸艦“神州丸”が群を抜いて速いことが分かり、それが神州丸に搭載された“ホイスト”であることも判明しました。客船型の上部構造の中段にある変なドアがそれなのです。“衣笠丸”級はこのホイストを全面的に採用し、大発も今のコンテナよろしくフックなどを装備して短時間で発進することに成功しました。
攻撃貨物輸送艦という艦種も世界の艦船“第2次大戦のアメリカ軍艦”の170ページにアンドロメダ級(カーラAKA-51・総数200隻同型30隻)として載っています。君川丸はこの船の日本版なのですが、衣笠丸は神州丸との混血で私のオリジナルです。実はこれを発表したくて君川丸を描いたのですが…。それから平面図をA,Bの2案を考えました。初めは大発を出来るだけ沢山という考えで横載にしたのです。確かに前部まで含めると14隻も載るのですがこれだと重心が上がって不安定になるし、ホイストの移動レールが船体から大きく飛び出し、実用的でないと思うようになりました。この辺は描いたものの悩むところなのですがそんな悩みが楽しいのです。ただ、このタイプは後のRORO型貨物船の先駆者と言えます。神州丸に採用したホイストを更に活用すればこのような上陸用貨物船が攻撃貨物輸送艦になるのではないかという一考察でした。
※最近陸自の装備に関する雑誌が出版されています。“陸上自衛隊の車輛60年”ともう1冊ですが、これらを揚陸させる為にあのLSTを作ったことがよく分かります。それと私のこのコーナーにアクセスして頂いている方々はもうご存知でしょうが、“世界の大艦巨砲”石橋孝夫著潮書房光人社、この本は八八艦隊の整備と平賀譲氏の構想が分かってものすごく面白い著書です。石橋孝夫氏の文章は判りやすく平賀譲の頭脳を上手に教えてくれます。お勧め!特に八八艦隊11号艦からの展開。それと福井静夫氏とは違ったスマートな艦型図です。一読をお勧めします。
あまりにも創造力が衰えアイデアが浮かびませんので少し遊んでみました。
図はトラック環礁に憩う呂-203と攻撃輸送艦畿内丸の姿です。約40日間作戦に従事した後トラックに帰還し、一刻も早く“風呂に入りたい”という潜水艦乗組員の要望に“畿内丸”が応じて風呂を提供している様子です。伊-8の遣独を描いた時、潜水艦の艦内生活の本をかなり読みましたが、私達が極当たり前に入っている“風呂”は“煙草”に続いて乗組員の願望の上位に入ることが分かりました。私は風呂特に銭湯が好きで家の風呂には入らずもっぱら湯屋にご厄介になっております。40日間も風呂に入れないなんて言うのは私の想像の世界にありません、しかもアリュ―シャン方面で潜水している時などは冷蔵庫の中に入っているようでろくろく眠れない、衣服もべっとりと湿気をすって着心地の良いものではないそうです。潜航中の艦内は暑いものとばかり思っていましたがあれは海の状況で変わるみたいです。筆者などはあまり皮膚が丈夫な方ではありませんから潜水艦乗りは無理ですね。こうやっていろいろ考えてこの稿のアイデアを考え描いて、気に入ったものが出来ると喜び勇んでドブーンと湯に浸かるのが楽しみです。その後のビールも目的の一つですが...それは乗員も同じなようです。