19.戦艦信濃

  信濃(110号艦)・・・横須賀工廠  昭和18年1月竣工
  紀伊(111号艦)・・・
   基準排水量62,500㌧ 満載排水量71,000㌧ 全長263m 全幅38.7m 
   吃水10.4m 機関艦本式ギアードタービン4基 15万馬力 速力29㌩ 16㌩にて7,200浬
   
兵装 45口径46㎝3連装砲×3基(9門) 
   65口径10.5㎝連装高角砲×8基(16門)
   戊式40㎜連装機関砲×18基(36門)
   25㎜3連装機銃×28基(84門)

戦艦信濃ついに登場です。この艦は戦艦ではなくミッドウェー海戦での空母喪失を補うべく昭和19年11月19日に航空母艦として竣工し、わずか10日後に呉への回航の途中米潜水艦の雷撃によって沈められた艦です。今年(2015年)は武蔵、イ-400まで発見されたのですから空母信濃も探して欲しいですね。今回はこの信濃を戦艦として完成させるまでを解説いたします。

話は変わりますが、私が旧戦艦や重巡について触れないのは、仮想戦記がせいぜい陸奥、長門、金剛型あるいは活躍した重巡羽黒、その他数隻の巡洋艦にスポットをあてるだけで他の艦はあまり登場しません。やはり主役は“大和”ですね。それに旧海軍の重巡はあまりにも完成され過ぎていて改造することがもったいないと思っています。あの諸艦の美しさは改造すればするほど醜くなると思います。ですから、重巡については一切手を触れません。

また戦艦山城級や伊勢、日向についてですが、あの戦艦はどう改造してもあまり役に立つとは思えません。今でも伊勢、日向の改造は資材や人工等最大の損失を海軍にもたらしたのではないでしょうか。戦況の急変にあたふたして、その場しのぎの対応策しかとれなかった艦政本部の失策だと思いますが、日露戦争の時とは違って一本筋が通っていません。航空兵力や電子装置の急激な進歩は予測できたし、その萌芽も感じ、目にしたはずです。しかし、そういった新しい考え、兵器には目を向けなかった姿勢がまずかったように思います。  

ところで私はこうやって架空の艦を勝手に考えておりますがこれだけの艦を創るとなると“造船”だけで大変な量の仕事になるのに、その上更に艦の改装、造修が加わるわけですから現場からは悲鳴が聞こえてくるでしょう。建造よりも維持、損傷復旧、通常修理、改造という作業の方が大きなウエイトを占めることに気づきました。そうなるとベテランの工員は絶対確保ですね。このような問題に対して海軍はいち早く工員を徴用してベテラン工員の確保は出来ていたのでしょうか?まさか陸軍二等兵になったんじゃないでしょうね!

話を信濃物語に戻します。物語はこうなります。

戦艦信濃は武蔵に続き17年末には完成する予定であった。が、それはあくまで基本設計通り15.5cm3連装4基を副砲として搭載した場合であった。艦政本部は航空機攻撃の激化に対応して大和と同じく高角砲の搭載場所を増設し、ここに高空迎撃のできる65口径10.5㎝連装高角砲を搭載することにした。   

当初、前方に対する防御を強化する為に副砲跡には10㎝連装高角砲を2基搭載する案が検討されていた。しかし、戊式40㎜機関砲の性能が思った以上に優秀であり3~4,000m位の中空域への迎撃が効果大と判断されたため、高角砲は前後1基として高角砲の両サイドには40㎜連装機関砲を2基搭載することになった。増設はこの他、司令部施設及び新型電探及び電探室の増設工事など多岐にわたり、その為完成が18年1月になってしまった。因みに4番艦紀伊は同年3月呉にて完成している。これは大和の建造経験があったためだといわている。

 改造の途中で高角砲の搭載位置について二つの案が検討された。一案は煙突側のスポンソンにそのまま搭載する案。二案は副砲の撤去位置にまで拡大した新しいスポンソンに設置する案である。検討を重ねたが結局完成を早める為煙突側を採用し姉妹艦である武蔵のような配置となった。

その結果、新しいスポンソンには戊式40㎜連装機関砲が搭載され横方向の中空域迎撃が強化された。3連装または4連装を搭載したいという要求もあったが、製造ラインに3・4連装をはめ込むことが困難であり生産効率も悪いため、連装機関砲の増設という形でまとまった。(松型と同じく4連装は体力的に日本人には無理という理由もある。)25㎜3連装機銃を装備する予定の位置で、広さに余裕の在る所は40㎜機関砲に換装した。艦尾、艦橋の左右などがそれになる。また、防弾盾がないに等しい単装25㎜機銃増設は乗員の消耗を増やすだけとして全て見送られた。

また、昭和17年の時点で米が計画中のモンタナ級戦艦も40.5㎝砲を搭載するという情報が寄せられた為、防御も40㎝50口径に対応するとして舷側の装甲を50㎜薄くした。その為排水量は62,500㌧と若干減り、速力も29㌩と向上した。水上レーダーと対空レーダーは新型の4号と5号に換装、前部艦橋にマストを取り付け、上部に水上レーダーを搭載、後部マスト基部に対空レーダー2基を搭載した。5式対空電探は戊式40㎜連装機関砲と65口径10.5㎝連装高角砲の射撃管制も行なうがその後専用の5式改射撃指揮レーダーが装備された。

 信濃は4番艦紀伊の完成を待って第一艦隊第二戦隊を編成したが、単艦で機動部隊に随行することが多く、4隻揃って米戦艦ミズリー級との海戦は1度しかなかった。

ということです。この海戦の模様については後述しますが小説家ではないのでどうなることやら…です。紀伊についてはもう少し時間を下さい。懸命に建造中です。11月くらいには発表します。