14.浅間型重巡洋艦 (20.3㎝三連装砲搭載艦) 

        昭和16年竣工  重巡洋艦 浅間  横須賀  12.07
                          愛鷹  呉    12.10
                          六甲  神戸   12.09
                          開聞  長崎   12.15

        昭和17年竣工          大山  鶴見   3.15

                          九重  横須賀  4.10
                          朝日  室蘭   4.15
                          穂高  呉    5.05
                          身延  佐世保  5.15
                          吾妻  神戸   7.18

         昭和18年竣工          石鎚  大連   1.10
                           竜王  大連   1.10

 

日本の重巡洋艦はどのタイプも船体のシルエットが低く日本近海の荒い波に合わせて艦首のフレア(朝顔)がとても綺麗です。高雄型がこの荒い波をかき分けて進む素晴らしいシーンは皆さんも何度かTVでご覧になっていると思います。ところが恰好は良いのですが、その分居住性は悪く砲塔もわずか25㎜の弾片防御のみで無いに等しく、更に魚雷を搭載しており攻撃力は充分ですが防御力は今一つの感を抱きます。その点米英の巡洋艦はそれこそ戦艦の代わりに各地を巡行すべく本来の巡洋艦機能を備えており、乾舷は比較的高く居住区も船体内にあり、主砲も装甲化されて防御力も相応にあり、ゆとりのある艦になっています。

そこで太平洋を縦横無尽に動き回る巡洋艦は居住性を改良し、主砲塔も装甲化する、また魚雷は防御の意味からも撤去し、その分燃料搭載量を増大し、電探機器の充実を図った方がより良いと考えました。更に短期間でこれらの要求を満足する艦を設計するためには、やはり大淀を基本とした巡洋艦が一番手っ取り早いことになります。以前の改翔鶴と同じ考えですが、ここは個艦の優秀性を追求するより建造しやすくタフな艦を創ることが重要だと考えたのです。  

新型艦を考える時、頭の中はまさに艦政本部そのままの状態になります。この時が仮想艦を考える上では一番楽しい時間です。この重巡浅間もこの形になるまでは10種類ぐらい図面にしてみました。居住性と航洋性を考えたら船体は一層増し乾舷の高さを確保しないといけないなとか、主砲が3連装になるなら幅22mは必要になるな!などとあれこれ考えるのです。あなたもやって見ませんか?こんなことができるように一部の艦は自由に兵器の載せ替えが出来るようにしております。私自身もこのJドラフというソフトに慣れていませんので平面図はまだ書けません。線に幅を持たせたり一部を膨らめるなどの問題は何時になったら出来るやら見当もつきません。でも何とかなりますよ!

重巡浅間型は軽巡大淀型の幅の狭さによる旋回時の大きな傾き問題を解消(友鶴事件みたいですね…)し、その時に発生する高角砲への給弾が出来なくなる等の揚弾機器の改善、15.5cm主砲発砲時の電探故障(真空管不良・20.3cmになるならよけい振動対策が必要と考えます)の改善などは全て盛り込まれた艦になりました。全長202m、排水量も14,300と増大、広く大型化した船体には主砲として零式20㎝3連装砲3基 65口径10㎝連装高角砲8基 及び 戊式40㎜3連装機関砲×12基 航空機1機を搭載しました。

本級に搭載した零式20㎝三連装砲ですがこのような砲を日本海軍は設計しておりませんので全くの仮想砲です。最上級の15.5㎝三連装砲と20㎝連装E砲を参考に創作してみました。昭和15年に完成しましたので零式になったわけです。この砲については別項で述べます。物語はこうです。

 ボルチモアの情報を入手した艦政本部は対応すべき新型重巡の設計を昭和12年より開始し年内には設計を終えた。高角砲も量産が軌道に乗った65口径10.5㎝連装砲を搭載することになった。しかし、最大の問題は新型の20.3㎝3連装砲の製造であった。海軍は大和級及び巡洋戦艦鞍馬で3連装砲はすでに製造していた。問題はこの砲が今後、重巡洋艦の標準装備となるため、最新装備はもとより、今後開発される新装置の追加にも対応できるものでなくてはならないということであった。呉工廠は今まで培ってきた技術のすべてをこの砲の製作に注ぎ込み、日本製鋼所技師と共に量産体制を作った。

船体の線図は大淀を基本にしているが長さも幅も大型になっており、更に大淀より航洋性と居住性を確保するため一層増やしたためほとんど新規に近い設計となった。

建造は順調に進み昭和16年末、開戦前後に4隻【浅間、愛鷹(あしたか・八八艦隊計画時に愛宕の前に候補になった艦名)六甲、開聞】が完成し、訓練後ただちに機動部隊に編入、金剛型と共に直衛防空部隊として活躍の場を与えられた。昭和17年6月5日ミッドウェー海戦が初陣となったが、愛鷹、六甲、浅間、開聞の4隻は持てる力をいかんなく発揮し、強力な対空砲火により米軍の急降下爆撃機を寄せつけなかった。その結果損失艦は蒼龍1隻で赤城と加賀がそれぞれ飛行甲板前部に被弾し小破と中破という損害にとどまった。それにはこの海戦に間に合った秋月を始めに、照月、宵月、夏月、如月、弥生、冬月、春月、望月など9隻の防空型駆逐艦の対空砲火が濃密であったことも効果をあげている。また戊式40㎜機関砲の性能も改めて評価された。

その後、各造船所の建造スピードがあがり、昭和17年には【大山(だいせん)、九重(ここのえ)、朝日、穂高、身延、吾妻】の6隻が、18年には石鎚(いしずち)竜王の2隻が竣工し合計12隻の姉妹艦が機動部隊の護衛、南太平洋の緒戦に投入された。どの開戦でも本級の装備は大活躍し海軍の作戦に貢献するところ大であった。その後、本級を更に改良した雲仙型へと発展する。

基準排水量14,300㌧ 満載排水量17,000㌧ 全長202m 全幅21.6m 吃水7.2m 主機 艦本式ギアードタービン12万馬力 速力33ノット 
航続距離18㌩で8,000浬 装備 零式20cm三連装砲3基9門 65口径10.5㎝連装高角砲8基 戊式40㎜連装機関砲12基24門 25㎜3連装機12基  搭載機 1機 船体装甲はボルチモアと同じく15.2㎝を採用。主砲は対20cm砲装甲装備である。

零式(れいしき)20㎝三連装砲
試作は呉海軍工廠が行い、製作は日本製鋼所でおこなうこととなった
砲員24名砲 塔重量220㌧最大迎角+75-5度 旋回速度9度/秒 俯仰速度15度/秒  初速900m/秒  弾量126kg 最大射程28900m 口径20.32㎜  浅間級から雲仙級まで搭載された日本海軍の標準砲。