52.海防艦の全貌 1号型 ~ 5号型

 航空機の年表が思いのほか時間が掛かりまして、しばらく軍艦に戻れませんでした。その間に何と8,600を超えるアクセスを頂きありがとうございました。
さて、今回は前にナンバー25で発表した海防艦を整理して、各造船所別に艦型図に著してみました。全体的な話は25に記しましたが500隻もの大量建造を完遂した5か所の造船所の熱意は一言では言い表せません。これらの艦を建造、就役させていなければ、実史のごとく日本への資源供給能力は途切れ、昭和19年末には艦艇を動かす事すらできなくなってしまったでしょう。
海上護衛総隊を海戦時から発足させていたことが“南方資源確保”に繋がり“継戦能力の維持・確立”となったわけです。それの実現にもっとも貢献した艦艇がこの海防艦群と対潜護衛空母群でした。

1号海防艦は(下一桁が1か9)271号艦や299号艦
 

【要目1・6型】
   基準排水量980㌧   満載排水量1,140㌧     全長84.23m × 幅9.8m × 吃水3.1m  
         主機2210型デーゼル × 2基  4,600馬力  速力20㌩      16㌩で8,000

【兵装】
    65口径10.5㎝連装高角砲 × 1基 戊式40㎜連装機関砲×3 253連装機銃 × 2基  159連装対潜噴進砲 × 2基 
        爆雷投射機Y砲 × 1基  爆雷投射機 × 4基(爆弾型3式機雷130発)   
        爆雷投下軌条 × 
2基 15型水中聴音機 × 1基 16型水中探信義×2
        
乗員160名  建造所 日本鋼管

  海防艦の大量建造の元になったのは“占守”(860㌧・78m)ですが、本級は鵜来と御蔵を足して2で割ったような艦です。占守(しむしゅ)の建造に携わっていた遠山技術中佐は、これらの護衛駆逐艦が輸送船団の護衛のために大量に必要になることを予測し、電気溶接による大量建造の方法を研究していました。彼は主に日本鋼管でその基礎技術を完成し、昭和16年からの建造開始に備えたのです。本級は最も基本的な船型で“占守”の船型を若干大型化しています。大量建造の始まった当事、各造船所はこの艦型の冶具の製作から始めました。10.5㎝連装高角砲を後部に搭載し防空能力を高めていますが、船団が航空機の攻撃を受けることを予想し戊式40㎜連装機関砲を採用したことです。
後に他の造船所が艦隊側の要望に沿って搭載砲を変えて現場対応していきますがその基本になったものが日本鋼管製の1号海防艦となりました。

 2号海防艦は(下一桁が2か8)272号艦や288号艦
 


【要目】
    
16型に同じ

【兵装】
    65口径10.5㎝連装高角砲 × 1基  同8㎝(7.6㎝)連装高角砲 × 1
    戊式40㎜連装機関砲 × 5基 その他同じ

  1号海防艦の機関砲を40㎜に統一し、併せて射撃指揮装置と連動し、更に対空能力を強化したタイプ。爆雷投射機を左舷のみ増設している。単装機銃は都度、備えられたが、搭載数は様々で決まっていない。三井玉野ではこの船型から始まり100隻建造の60番艦からは後述する4号海防艦と同型のものが建造された。
 

3号海防艦は(下一桁が3か7)273号艦や287号艦


【要目】
    基準排水量1,120㌧  満載排水量1.230㌧     全長86.6m × 全幅9.8m × 吃水3.4
        主機2220型デーゼル × 2基  7,000馬力  21

 

【兵装】
   12.7㎝連装高角砲 × 1基  7.6㎝連装高角砲 × 1
   戊式40㎜連装高角砲 × 5基  159連装対潜噴進砲 × 3
   12.7㎜単装機銃8から10
   対潜爆雷Y砲 ×1基  爆雷投射機 × 3基 探知機器は1号、2号と同じ。

  本級は艦首に12.7㎝連装高角砲を搭載するため、2.5m程船体を伸長し、大型化した艦橋には司令部施設を設けた。また、通信機器も強化され海防艦同志の通信がスムースになった。
1号型や2号型海防艦は船団護衛が開始されると直ちにその任務に投入されたが、昭和18年からはガトー級潜水艦による攻撃はかなり頻繁になり、中には追い詰められたために浮上し、砲による攻撃に転じるものも現れた。海防艦乗員はこれに対抗するため12.7cm砲への要望が強く、護衛本部がこれに応じたもの。この時期、敵潜水艦は4隻又は8隻の戦隊単位で護送船団を攻撃するドイツの狼戦法を採用し、中にはわざと浮上し注意をひきつけて他の艦が攻撃するための隙を作るなどその攻撃方法は変化しまた多彩にあった。これに対し護衛部隊は空母からカ号機や東海などの低速機、あるいは零戦を爆装した戦爆で対抗しこれに対抗、撃滅した。5吋連装砲が搭載されたのは、上記の要望もあったが10.5cm連装高角砲の需要が多く、製造が間に合わなかったという事情もあった。日立造船では50番艦からこの艦型の建造に切り替わった。

 4号海防艦は(下一桁が4か6)274号艦や286号艦


【要目】
   基準排水量1,120㌧  満載排水量1.230
         全長86.6m × 全幅9.8m × 吃水3.4
         主機2220型デーゼル × 2基  7,000馬力  21

【兵装】
   12.7㎝連装高角砲 × 1基  7.6㎝連装高角砲 × 1
   戊式40㎜連装高角砲 × 5基  159連装対潜噴進砲 × 3
   12.7㎜単装機銃8から10
   対潜爆雷Y砲 × 1基  爆雷投射機 × 3基 探知機器は1号、2号と同じ。

 3号海防艦の前部5吋砲を40㎜に戻し、対空能力を維持したクラス。3号艦と4号艦は船体の前部延長に伴って艦首の形状も曲線状になり、艦首には客船のようなブルワークを装備した。また両クラスは前方爆雷投射機である15㎝9連装対潜噴進砲を艦首に2基装備している。


5号海防艦は(下一桁が0か5)275号艦や285号艦


 

【要目】
   
基準排水量990㌧  満載排水量1,160㌧  全長84.23m × 幅9.8m × 吃水3.1
         主機2210型デーゼル × 2基  4,600馬力  速力20㌩   16㌩で8,000

【兵装】
        
65口径10.5㎝連装高角砲 × 1基  65口径8㎝連装高角砲 × 1
    戊式40mm連装機関砲 × 5基  159連装対潜噴進砲 × 2基 
        爆雷投射機Y砲 × 1基  爆雷投射機 × 4基(爆弾型3式機雷130発)
        爆雷投下軌条 × 2基  15型水中聴音機 × 1基 16型水中探信義 × 2
        乗員160名  建造所 石川島造船横浜工場

  本級は石川島造船所で最後まで建造された艦で海防艦としては最もバランスのとれた艦という評価であった。海防艦は昭和19年には護衛艦という名称に変更されいわゆる“軍艦=菊紋章付”という分類から外れたが、護衛艦という名称がこの艦の本来の任務を著していることから採用となった。護衛艦は一貫して15型水中レーダー(測定距離5,000m 方位±30m)16型音響測定器(3,000mにて左右±15m)という対潜機器を搭載している。