82.戦後潜水艦の歴史

 本編では昭和35年(1960)以降に建造される潜水艦は全て原子力潜水艦になっている。
なぜ大潮級を最後に原子力潜水艦になったのか?その答えは原子力の圧倒的なパワーに起因する。いかに優秀な通常型潜水艦を造ったとしても原子力という無酸素・無限の機関より優れたものはなく、この機関こそ“潜水艦”という兵器のために存在するものだといえる。
第2次大戦を引き分けという形で終了した海軍が原子力をいち早く導入するのは時の流れであり、この流れは空母にも適用されるものだ。新日本海軍は一部水上艦艇にも原子力化を導入したが結局は空母と潜水艦の二つの艦種のみこの機関が使われるようになるのは米海軍と同じである。今回は現在までの原子力潜水艦の歴史を振り返ってみる。

1.通常潜水艦“大潮”級


 

 1.大潮(おおしお) 昭和34年(1959) 竣工 三菱神戸 昭和55年除籍
 2.磯潮(いそしお) 昭和34年(1959) 竣工 神戸川崎 昭和54年除籍
 3.春潮(はるしお) 昭和34年(1959) 竣工 浦賀船渠 昭和37年火災により除籍。各種実験に使用後除籍。
 4.巻潮(まきしお) 昭和35年(1960) 竣工 三井玉野 昭和56年除籍
 5.高潮(たかしお) 昭和35年(1960) 竣工 横浜船渠 昭和57年除籍

【要 目】
 基準排水量 水上2,300㌧    水中排水量2,950㌧
 全長75.6m  ×  最大幅9.5m  ×  吃水7.7m
 主機:三井ディーゼル ×1基 1軸
 出力 3,500hp/7,500hp(水中)   速力13ノット/ 20ノット(水中)  潜航深度220m
 兵装:533㎜魚雷発射管6門 ×24本  乗員75名

昭和33年計画で建造された涙滴型潜水艦の第1号である。1958年米国よりバーベル級の設計図その他の資料が提供され、戦後長いあいだ主力であった伊-200型や伊-400に変わって主力潜水艦として整備が始まった。当時開発が終わったばかりのW44鋼の採用により潜航深度は従来の潜水艦をはるかに超えるものとなり、潜航速度20㌩以上という機動力とあいまって戦後の潜水艦の中心になるものと期待され本級は30隻が建造される予定であった。しかし、1955年にソ連海軍がノーベンバー級原潜を保持したことを知ると運用者である艦隊側が原子力機関の採用を強く求めたため建造は5隻にとどまった。なお、3番艦の“春潮”は昭和34年に竣工後、昭和37年の定期補修中に火災事故が発生。艦内は全損に近い破損を受けたため廃艦となり、その名は同年竣工予定の原子力潜水艦に再度命名された。本艦を使った各種実験がその後の潜水艦に寄与すること大であったのは言うまでもない。


2.原子力潜水艦“親潮”級


 

 1.親潮(おやしお) 昭和35年(1960) 4月15日 竣工 三菱神戸 昭和61年除籍
 2.渦潮(うずしお) 昭和35年(1960) 5月18日 竣工 神戸川崎 昭和61年除籍
 3.朝潮(あさしお) 昭和36年(1961) 6月10日 竣工 浦賀船渠 昭和62年除籍
 4.夏潮(なつしお) 昭和37年(1962) 4月18日 竣工 三井玉野 昭和63年除籍
 5.高潮(たかしお) 昭和37年(1962) 5月1日 竣工 横浜船渠 昭和63年除籍

【要 目】
 基準排水量2,800㌧     水中排水量3,550㌧
 全長80.4m   × 幅9.5m  ×   吃水7.7m
 主機:東芝T2G又は日立H1D 加圧式原子炉1基 蒸気タービン 2基
 1軸 出力15,000馬力   速力15㌩(水上)/28㌩(水中)
 潜航深度 220m   兵装:533㎜魚雷発射管 × 6門(魚雷24本・一部音響追尾式魚雷)
VQQ-1ソナー  一式   乗員80名

我国最初の原子力潜水艦である。船体構造は前級通常動力潜水艦“大潮”型と同じ涙滴型をそのまま流用し短期間に完成した。原子力化については技術的にも政治的にも様々な障害があったがソ連海軍の原潜保有が動機として一番大きかった。当時ソ連の潜水艦勢力は増加しており原潜の極東配備も実施されたことが明らかになったため原潜保有が早期に実現することとなった。本級も20隻以上が計画されたが原子力潜水艦の性能進化が予想以上に早いことから5隻の建造にとどめ次期計画の艦に移行した。この当時から音響会社のソナー開発が急速に進歩し、次々と新型ソナー(VQQ-1~2C)を採用することになり順次新型の採用をしたため同一艦でもソナー性能は向上している。また、建造所も関東の浦賀・横浜船渠更に岡山の三井玉野それに神戸の2社など5つに分散されており危機管理の一端を見ることができる。
このことは後に潜水艦を複数建造する時おおいに貢献することになった。


3.原子力潜水艦“八重潮”級


 

 1.八重潮(やえしお) 昭和40年(1965) 3月17日 竣工 三菱神戸 平成2年除籍
 2.満潮(みちしお) 昭和41年(1966) 4月8日 竣工 神戸川崎 平成3年除籍
 3.夕潮(ゆうしお) 昭和42年(1967) 3月19日 竣工 三井玉野 平成4年除籍
 4.冬潮(ふゆしお) 昭和43年(1968) 5月10日 竣工 浦賀船渠 平成5年除籍
 5.瀬戸潮(せとしお) 昭和44年(1969) 6月1日 竣工 横浜船渠 平成6年除籍
 6.灘潮(なだしお) 昭和45年(1970) 4月28日 竣工 三菱神戸 平成7年除籍
 7.松潮(まつしお) 昭和46年(1971) 3月8日 竣工 神戸川崎 平成8年除籍
 8.初潮(はつしお) 昭和47年(1972) 5月6日 竣工 三井玉野 平成9年除籍

【要 目】
 基準排水量3,450㌧   水中排水量4,280㌧
 長さ82.65m  ×  幅9.7m  ×  吃水7.7m
 機関:東芝T3G又は日立H3B加圧式原子炉1基 蒸気タービン × 2基
 出力:18,000馬力     速力14㌩(水上)/29㌩(水中)
 兵装:533㎜魚雷発射管 × 6門(音響魚雷24本 後に対地ミサイル6本)
 VQQ-3ソナー(音響・ビクター製)一式
 安全潜航深度:300m     乗員90名

3年間の研究時間をおいて建造された我国独自の量産型原子力潜水艦であり、米海軍のスキップジャック・スレッシャー級に対応するもので高張力鋼W-55の開発により潜航深度300mを達成している。また艦首にソナーを配置したため魚雷発射管はセイル位置の近くに外側に開いて配置された。


4.原子力潜水艦“黒潮”級


 

 1.黒潮(くろしお) 昭和49年(1974) 4月5日 竣工 神戸川崎 平成11年除籍
 2.磯潮(いそしお) 昭和50年(1975) 5月5日 竣工 浦賀船渠 平成12年除籍
 3.鳴潮(なるしお) 昭和51年(1976) 6月9日 竣工 横浜船渠 平成13年除籍
 4.望潮(もちしお) 昭和52年(1977) 6月8日 竣工 三菱神戸 平成14年除籍
 5.早潮(はやしお) 昭和53年(1978) 3月18日 竣工 三井玉野 平成15年除籍
 6.荒潮(あらしお) 昭和54年(1979) 3月22日 竣工 浦賀船渠 平成16年除籍
 7.若潮(わかしお) 昭和55年(1980) 5月18日 竣工 横浜船渠 平成17年除籍
 8.大潮(おおしお) 昭和56年(1981) 5月22日 竣工 神戸川崎 平成18年除籍
 9.沖潮(おきしお) 昭和57年(1982) 4月18日 竣工 三菱神戸 平成19年除籍
10.巻潮(まきしお) 昭和58年(1983) 5月6日 竣工 三井玉野 平成20年除籍
11.幸潮(さちしお) 昭和59年(1984) 3月14日 竣工 浦賀船渠 平成21年除籍
12.高潮(たかしお) 昭和60年(1985) 4月18日 竣工 横浜船渠 練習潜水艦在籍
13.磯潮(いそしお) 昭和61年(1986) 5月16日 竣工 三菱神戸 練習潜水艦在籍

【要 目】
 基準排水量3,650㌧       水中排水量4,290㌧
 長さ87.5m  ×  幅9.7m  ×  吃水7.7m
 機関:東芝T4G又は日立H4G加圧式原子炉1基 蒸気タービン × 2基
 1軸  出力:17,000馬力     速力15㌩(水上)/28㌩(水中)
 兵装:533㎜発射管 × 6門(魚雷24本 後に対地・艦ミサイル8本)
 VQQ -4Bソナー(音響・ビクター製)一式
 潜航深度:390m     乗員90名

八重潮型の改良発展型で静粛性が一段と増すとともに居住性の改良のため全長が5mほど延長された。しかしそれでも手狭感があった。また、静粛性対策はかなり慎重に行ったが充分とはいいがたく艦隊からも発見出来るとの指示があった。6番艦以降これの対策を実施し一定の静粛性を確保することが出来た。


5.原子力潜水艦“蒼龍”級


 

 1.蒼龍(そうりゅう) 昭和62年(1987) 4月 竣工 神戸川崎 第1潜水戦隊 横須賀
 2.飛竜(ひりゅう) 昭和63年(1988) 4月 竣工 三菱神戸 第2潜水戦隊
 3.雲龍(うんりゅう) 平成元年(1989) 5月 竣工 浦賀船渠 第1潜水戦隊 横須賀
 4.海龍(かいりゅう) 平成2年(1990) 5月 竣工 三井玉野 第2潜水戦隊
 5.呑龍(どんりゅう) 平成2年(1990) 6月 竣工 横浜船渠 第3潜水戦隊 佐世保
 6.神龍(じんりゅう) 平成3年(1991) 3月 竣工 神戸川崎 第3潜水戦隊 佐世保
 7.赤龍(せきりゅう) 平成3年(1991) 4月 竣工 三菱神戸 第2潜水戦隊
 8.天龍(てんりゅう) 平成4年(1992) 5月 竣工 三菱神戸 第1潜水戦隊 横須賀
 9.翔龍(しょうりゅう) 平成5年(1993) 4月 竣工 三井玉野 第1潜水戦隊 横須賀
10.剣龍(けんりゅう) 平成6年(1994) 3月 竣工 浦賀船渠 第2潜水戦隊
11.青龍(せいりゅう) 平成7年(1995) 3月 竣工 横浜船渠 第3潜水戦隊 佐世保
12.白龍(はくりゅう) 平成8年(1996) 4月 竣工 神戸川崎 第1潜水戦隊 横須賀
13.瑞龍(ずいりゅう) 平成9年(1997) 4月 竣工 三菱神戸 第3潜水戦隊 佐世保
14.黒龍(こくりゅう) 平成10年(1998) 4月 竣工 三井玉野 第4潜水戦隊 舞鶴
15.蛟龍(こうりゅう) 平成11年(2000) 7月 竣工 浦賀船渠 第4潜水戦隊 舞鶴

【要 目】
 基準排水量5,600㌧  水中排水量6,450㌧
 全長100.9m  ×  幅10.0m  ×  吃水7.9m
 機関:東芝5GEまたは日立H5B加圧原子炉 蒸気タービン×2基
    2次推進モーター(300ps×1基) 18,000馬力 水中速力30㌩
 兵装:533㎜発射管 × 6基 (対艦・地ミサイル含む搭載量28基)
   VQQ-5B型ソナー TASS(曳航式ソナー一式)

“黒潮”級の発展改良型でロスアンジェルス初期型に対応する性能を持つ艦として建造された。今まで建造してきた潜水艦が静粛性の面で発見が容易であったがこのクラスはその弱点を徹底的に排除したものになった。また、21世紀に中国が経済発展し海洋国になるのを見越し、我海軍も潜水艦を抑止力と位置づけ原潜40隻を整備・獲得するという方針が策定され、これの第一歩としてこのクラスの整備が始まった。当初このクラスも多数の整備が予定されていたが搭載機器の発達は急で、建造後5年もすれば新型の機器があらわれ、たちまち陳腐化してしまうという現実があり、やむを得ず次の“乗鞍”型に移行した。このクラスの水中速力が30㌩を超えたことで空母機動部隊の護衛が可能となり機動部隊に帯同する初めての原潜となった。また、平成10年より舞鶴工廠の潜水艦基地構想が実現し本級14.15番艦黒龍と蛟龍の2隻が配備された。


6.原子力潜水艦“乗鞍”級


 

 1.乗鞍(のりくら) 平成13年(2001) 6月18日 竣工 神戸川崎 第4潜水戦隊 舞鶴
 2.黒姫(くろひめ) 平成14年(2003) 5月30日 竣工 三菱神戸 第4潜水戦隊 舞鶴
 3.白山(はくさん) 平成14年(2003) 4月22日 竣工 住友浦賀 第1潜水戦隊 横須賀
 4.葛城(かつらぎ) 平成16年(2004) 3月18日 竣工 三井玉野 第3潜水戦隊 佐世保
 5.鈴鹿(すずか) 平成17年(2005) 5月15日 竣工 神戸川崎 第1潜水戦隊 横須賀
 6.旭(あさひ) 平成18年(2006) 6月9日 竣工 住友浦賀 第2潜水戦隊
 7.蔵王(ざおう) 平成19年(2007) 4月15日 竣工 三井玉野 第3潜水戦隊 佐世保
 8.大雪(たいせつ) 平成20年(2008) 2月23日 竣工 三菱神戸 第4潜水戦隊 舞鶴
 9.九重(くじゅう) 平成21年(2009) 3月28日 竣工 神戸川崎 第4潜水戦隊 舞鶴
10.筑波(つくば) 平成22年(2010) 2月28日 竣工 住友浦賀 第4潜水戦隊

【要 目】
 基準排水量5,870㌧     水中排水量6,530㌧
 長さ106.7m  × 幅10m  ×  吃水9.8m
 機関:日立H7G(又は東芝T6G)加圧式原子炉1基 蒸気タービン×2基
 出力35000馬力  水中速力33ノット
 兵装:533㎜魚雷発射管×6門(魚雷及び対地ミサイル24本)
 6連装VLS×2基(対空・対艦ミサイル24本(各種の本数未発表)
 山水製:VQQ-7ソナー(船体埋込式)一式
 TASS(曳航式音響ソナー)一式
 安全潜航深度350m  乗員128名

“蒼龍”級の発展型である。本級よりセイルの後部が円弧を描くように丸みを帯びた形状になり識別が容易になった。対艦対地ミサイルの6連装VLSを2基艦首に装備し打撃力の強化を図ったクラス。ソナー及びTASSも最新のものが搭載された。水中速力も33㌩を超え機動部隊の水中防御とし役割を果たせるようになったがこれがかえって潜水艦の不足感を海軍に与えることになってしまった。また、本級より艦名に“山”名が採用された。これは今後の潜水艦の整備隻数を考えると潮・龍だけでは限界があることと艦名に地方の“山”の名を加え海軍に対する親密感を醸し出すためであった。


7.原子力潜水艦“穂高”級


 
1型

 1.穂高(ほだか) 平成22年(2010) 4月11日 竣工 神戸川崎 第2潜水戦隊
 2.磐梯(ばんだい) 平成23年(2011) 3月11日 竣工 三菱神戸 第3潜水戦隊 佐世保
 3.開門(かいもん) 平成24年(2012) 5月18日 竣工 住友浦賀 第2潜水戦隊
 4.皇海(すかい) 平成25年(2013) 4月19日 竣工 三井玉野 第4潜水戦隊 舞鶴
 5.剱(つるぎ) 平成27年(2015) 4月5日 竣工 神戸川崎 第3潜水戦隊 佐世保
 6.赤石(あかいし) 平成28年(2016) 3月22日 竣工 住友浦賀 第4潜水戦隊 舞鶴
 7.白馬(はくば) 平成29年(2017) 4月8日 竣工 三井玉野 第1潜水戦隊 横須賀
 8.妙義(みょうぎ) 平成30年(2018) 5月11日 竣工 三菱神戸 第4潜水戦隊 舞鶴

2型
 9.雲仙(うんぜん) 令和元年(2019) 4月8日 竣工 神戸川崎 第1潜水戦隊 横須賀
10.大山(だいせん) 令和2年(2020) 3月28日 竣工 住友浦賀 第4潜水戦隊 舞鶴
11.岩木(いわき) 令和2年(2020) 4月17日 竣工 住友浦賀 第3潜水戦隊 佐世保
12.大峰(おおみね) 令和2年(2020) 4月16日 竣工 住友浦賀 第2潜水戦隊
13.白神(しらがみ) 令和3年(2021) 5月14日 竣工 住友浦賀 第2潜水戦隊
14.苗場(なえば) 令和3年(2021) 5月16日 竣工 住友浦賀 第1潜水戦隊 横須賀
15.月山(がっさん) 令和3年(2021) 1月18日 竣工 住友浦賀 第3潜水戦隊 佐世保
16.衣笠(きぬがさ) 令和4年(2022) 2月19日 竣工 住友浦賀 第4潜水戦隊 舞鶴
17.六甲(ろっこう) 令和4年(2022) 3月22日 竣工 住友浦賀 第2潜水戦隊
18.阿蘇(あそ) 令和4年(2022) 3月25日 竣工 住友浦賀 第1潜水戦隊 横須賀

【要 目】
 基準排水量6,950㌧     水中排水量7,880㌧
 全長113m × 最大幅10.3m × 吃水9.3m
 機関:東芝S9G加圧式原子炉(又は日立H9G)+ギアード蒸気タービン2基
 出力43,000馬力  速力36ノット(水中)
 兵装:533㎜発射管×6門(魚雷・対艦・地ミサイル24本)
 対空・対艦ミサイル6連装VLS×2基
 音響製:VQQ-10ソナーシステム(ブロック1型はBQQ5e) 乗員130名

現在建造中の最新型潜水艦。原潜の完成型である。1型から3型まであり各艦型で装備品に差あるが1型も定期改修時に順次装備の更新を行っており、新旧の差はなくなりつつある。米海軍ウァージニア型とほぼ同等の性能を有している。現在就役中の18隻含め35隻以上の整備を目指している。その都度改良が加えられていくが今後の発表によってまだまだ発展する可能性がある。計画上では令和10年(2028)年までに原子力潜水艦40隻を整備することになっている。Ⅲ型は前部のVLSをさらもう1基増設することが決定しているがこの艦型は別の潜水艦となるようだ。
本稿ではⅢ型として9項にまとめてみた。


※ 2022年における基地別潜水艦配備

上記のように潜水艦が配備されているがSSBNは別である。

8.戦略潜水艦“千歳”級


 

 1.千歳(ちとせ) 平成23年(2011) 4月5日 神戸川崎 北海道方面配備
 2.千代田(ちよだ) 平成23年(2011) 4月19日 三菱神戸 北海道方面配備
 3.瑞穂(みずほ) 平成24年(2012) 5月12日 神戸川崎 北海道方面配備
 4.八千代(やちよ) 平成24年(2012) 5月25日 三菱神戸 北海道方面配備
 5.八洲(やしま) 平成25年(2013) 6月7日 神戸川崎 北海道方面配備
 6.高千穂(たかちほ) 平成26年(2014) 4月10日 三菱神戸 北海道方面配備

【要 目】
 基準排水量 9,800㌧       水中排水量11,000㌧
 全長137.5m   ×   最大幅 12m   ×   吃水10.15m
 機関:東芝S9G加圧式原子炉(又は日立H9G)+ギアード蒸気タービン2基
 ギアード蒸気タービン2基 1軸 出力50,000馬力  速力28ノット(水中)
 兵装;中距離弾道ミサイル海鵬 × 14基  533㎜魚雷発射管 × 6門
 魚雷24本  対艦・空ミサイル6連装 × 2基 VQQ-10ソナー 1式
 安全潜航250m深度    乗員 123名

米海軍オハイオ級(1981~1997)以降西側で最新鋭のSSBNである。本艦搭載の弾道弾の飛行距離は最大9,000㎞で攻撃距離はポセイドンに比べを短い。ミサイル海鵬は人工衛星打ち上げ用固形燃料型ロケット(イプシロン)を基に小型化し、これを潜水艦搭載用に改良したものである。2005年以降、北朝鮮のロケット開発動向と中国の経済発展による海軍勢力の拡大に対応して我国のミサイル防衛網を再検討したが、その結論が抑止力として潜水艦による攻撃兵器の開発であった。米国よりオハイオ級の提供の話もあったが海軍は国産兵器という点にこだわったためミサイルの開発まで行うことになり開発予算は巨額となったが報復攻撃兵器の戦力化のため開発が促進された。その後中国は日本の2.5倍以上の予算を海軍にあて空母、原潜、新型駆逐艦を大量に発注しており我国がいずれ海軍艦艇保有量でも追い抜かねることは間違いないが戦略ミサイル潜水艦は質的にこれに対応をせんとするものである。装備は弾頭最大20k㌧の核爆弾でありこれを14基搭載する。命中率は±70mと高性能である。艦名については古くから伝わるめでたさや日本国の別名的な艦名に落ち着いた。本級は6隻が建造され北海道の秘密基地より2カ月おきの任務に就いている。なお海軍はこの北海道の基地については位置の発表をしていないが北方四島のうちのどこかということが推測される。


9.親潮型潜水艦(穂高Ⅲ型)


 

 19.親潮(おやしお) 令和5年(2023) 三井玉野 建造中
 20.大潮(おおしお) 令和5年(2023) 住友浦賀 建造中
 21.521号(うずしお) 令和5年(2023) 神戸川崎 建造中
 22.522号(くろしお) 令和6年(2024) 三菱神戸 建造中
 23.524号(みちしお) 令和6年(2024) 住友浦賀 建造中
 24.525号(はやしお) 令和6年(2024) 三井玉野 建造中
 25.526号(はるしお) 令和7年(2025) 住友浦賀 建造中
 26.527号 令和7年(2025) 神戸川崎 建造中
 27.528号 令和7年(2025) 三菱神戸 建造中

【要 目】
 基準排水量7,230㌧   水中排水量 8,270㌧
 全長117m  × 幅 10.3m  ×  吃水9.65m
 機関:東芝S9G-B加圧式原子炉(又は日立H9G-B)+ギアード蒸気タービン2基
 出力 45,000馬力  速力39ノット(水中) 潜航深度350m
 兵装:660mm魚雷発射管×2門(UUV4本・特殊魚雷8本)
 533㎜発射管×4門(魚雷・24本)
 対空ミサイル6連装VLS×2基(後日装備) 
 対艦対地ミサイル4連装VLS ×4基(16基)
 音響製:VQQ-11ソナーシステム(ブロック1型はBQQ5e) 乗員132名

現在整備が始まった最新の潜水艦である。性能的にウァ―ジニア級に対応するといえるがシーウルフ級の性能にも通ずるところがある。魚雷発射管は依然として6門であるがうち2門の搭載魚雷は米シーウルフ級搭載の66㎝口径魚雷とほぼ同じ性能となっているほかUUV発射も可能であり、機雷専用のそれを4基搭載する。Ⅰ、Ⅱ型に比べて全長が4m程長く機関出力の増大に伴って速力の増加につながり水中速力は目標であった40㌩には到達できなかったものの39㌩でシーウルフとともに世界最高である。なお艦名は伝統の“潮”が復活した。米海軍も艦名について基準はあるもの命名については臨機応変にやっているようだ。


10.新型潜水艦予想


 
【要 目】
 基準排水量8,350㌧    水中排水量9,600㌧
 全長133.6m  ×  幅 10.3m  × 吃水9.63m
新型潜水艦の予想図である。UUVの運用が容易になったため発射管での発射に替えて後部に専用の格納庫を設け回収まで可能となった。このUUVは機雷除去という任務の他、島嶼作戦時に小型潜航艇として上陸可能な機能を付加している。また、自らデコイとしても活動ができる。更にミサイルは戦術中距離弾道弾6発を搭載し個艦で敵基地攻撃が可能になった。そのため弾道弾を多数搭載したSSBN型の潜水艦が不要となる可能性が出てきており今後の運用がどうなるか検討中である。その他の対地攻撃はハープーンミサイルを6連装VLS 4基に搭載している。セイル直後の筒は揚陸作戦時に取り付けられるもので平時には搭載しない。