80.超大型空母“近江(おおみ)・若狭(わかさ)・上総(かずさ)”



全長328.6m×全幅(船体40.8m・飛行甲板最大幅77.8m)×吃水11.8m
飛行甲板最大幅77.8m × 長さ328.6m ×  高さ19m
格納庫 長さ209.8m  ×  幅32m  ×  高さ7.5m
機関:神戸川崎蒸気タービン24万馬力(6万×4基)    速力33㌩
航続距離15㌩にて14,000浬  兵装:20㎜ × 2基  シースパロー × 22基
搭載機:(竣工時)F2 × 24機  F4ファントム × 12機
    コルセアⅡ × 24機  早期警戒機 蒼海22型 × 4機
    輸送機・油槽機 × 各1機 計2機  合計 66機
    (退役時) F/A-18ホーネット × 24機
           F-14 トムキャット × 24機
           早期警戒機”蒼海”33型” × 4機
           電子戦機EA-6B × 4機
           C-2A グレイハウンド × 1機 
           SH-60K × 5機  計62機 

        起工        竣工       配備     退役
近江   1957.3.18    1962.5.15     横須賀   2009.2.28
若狭   1958.4.20    1963.3.15      舞鶴    2010.3.31
上総   1959.2.23    1964.3.28      呉     2011.3.31

米海軍は1955年10月に超大型巨大空母“フォレスタル”を竣工させた。
同型4隻が計画され1959年(昭和34年)までに全艦配備についた。日本海軍はこの間大型空母“摂津、安芸、甲斐”の3艦と9隻の”薩摩級”で東アジアの安定に貢献してきたが空母の旧式化は認めざるを得ず1960年代になると空母新造計画を具現化することになった。石油資源の貧弱な国土を考えると空母の原子力化も検討されたが当時はまだ原潜用に開発した低出力の機関しか開発できていない状況で空母搭載用の大型機関をいきなり開発することは難しかった。フォレスタル級を十分研究するとともに米海軍の新型空母(後のキティ・ホーク)を参考にしつつ建造したのが本級である。要目から見てもキティホークの準同型であることが分かる。

【艦名考】
艦名について候補は沢山あり悩みました。旧国名と決めていましたので“大和”“武蔵”も対象になりますが、“大和”!付けていいの? という感じにもなります。そこで次の候補を考えました。例えば前艦が空母であった“加賀”。ならば姉妹艦は“土佐”“長門”などになるでしょう。全く無視して“伊勢”“日向”“薩摩”なども考えられますがなんか古臭いし姉妹艦が3隻だとどうもスカッと決まらないのです。日本は同型艦2隻でやってきましたので3隻となると本当に困る。3文字ですと“相模”“出雲”“上総”“尾張”“駿河”“若狭”“信濃”などとなります。どうも二文字の艦名は短すぎるような気がして前艦の“安芸”“甲斐”も外国人からみると短い。かといってイタリアやドイツの艦名は長すぎる。そこで今まであまりなじみのない“近江(おおみ)・上総(かずさ)・若狭(わかさ)”等はどうだろうかと考えました、いかがでしょうか。“近江”は琵琶湖周辺で戦国時代の経済の中心地。“若狭”は今の京都北部です。なんとなく若若しくて新型空母にはふさわしいのではないでしょうか、舞鶴工廠もありましたし・・・。 また、“上総”は以前本編でも書きましたが”世界の艦船“の元編集長石渡氏の出身地で氏はかつて戦艦上総(かずさ)なんていい名前じゃないかと編集後記に書いていたのを覚えています。もし”世界の艦船“が発行されなかったら海軍に対する知識・情報は今よりさらに貧弱なもので日本人の軍事アレルギーは更に助長されることになったでしょう。話は変わりますが大和型3番艦の“信濃”ですが何故“信濃”という名前が急に出てきたのでしょう。戦争後期に軍の首脳部が長野県松代地区に移転する計画があった訳ですがそれで“信濃”を付けたのでしょうか?これに応えた文章はお目にかかっていません。でも昭和19年竣工直前に付けたわけですから根拠はその辺かもしれませんね。

【搭載機】
搭載機は竣工時と退役時では大きく変わります。中期、後期は米国にならってF-14トムキャット、イントルーダー、F-18ホーネット、スーパーホーネットに変わって行きました。搭載機の変遷は米海軍の変遷と同様に変わって行きます。日本は作らないことになっていますから・・・。ただ、F-2などはほとんど日本製の機体になっているので初期には搭載することになります。無論、海軍仕様であり、車軸などの強化、着艦フックの取り付けなどの改装が行われています。



【艦隊編成】
1990年代の艦隊編成は以下の様になります。
空母1隻  イージス艦1隻  駆逐艦(“雪“クラス)3隻  フリゲート2隻  補給艦1隻   合計 8隻

機動部隊は8隻で1単位が構成されこの機動部隊2単位で1艦隊が構成された。

第一艦隊(主に太平洋方面の警備にあたる。所属軍港は横須賀)
第1機動部隊  
空母:近江(おおみ:旗艦) イージス艦:岩木  駆逐艦:舞雪 氷花雪(しがゆき)  フリゲート:朝風 山風  補給艦:音戸
第2機動部隊
空母:安芸         イージス艦:鳥海(旗艦) 駆逐艦:吹雪 白雪 初雪  フリゲート:雪風 巻風  補給艦:間宮 

第2艦隊(主に日本海、オホーツク海方面の警備にあたる。大湊、室蘭にも定型基地あり)
第3機動部隊
空母:若狭(旗艦)     イージス艦:鞍馬  駆逐艦:深雪 春雪 朝雪  フリゲート:海風 江風  補給艦:速吸
第4機動部隊
空母:摂津         イージス艦:高雄  駆逐艦:峰雪 松雪 大雪  フリゲート:谷風 初風  補給艦:風早

第3艦隊(主に沖縄・台湾方面・南シナ海の警備にあたる)
第5機動部隊
空母:上総(かずさ・旗艦) イージス艦:摩耶   駆逐艦:綿雪 堅雪 粉雪  フリゲート:峯風 島風  補給艦:竜飛
第6機動部隊
空母:甲斐          イージス艦:愛宕  駆逐艦:山雪 華雪 里雪  フリゲート:旗風 沖風  補給艦:波勝

以上のようになります。その他の艦は各地方隊に所属しており、機動部隊の予備としても待機しておりました。この後、空母安芸級が退役することになり、いよいよ原子力空母建造の時代に入ります。