56.三式艦上戦闘機“陣風改11型“と“33型“

  陣風11型は零戦後継機としていくつか上がった戦闘機の中の一つです。海軍と陸軍は共同で疾風・紫電改・烈風改と開発してきました。疾風・紫電改までは操縦席廻りの防御、各種タンクのゴム被膜防御なども施し、戦闘機としてはF6Fヘルキャット並に仕上がりました。ところがすべてを解決し圧倒的な性能を盛り込んだ“烈風改”は機体が大きくなりすぎて空母への搭載機数が減るという結果になってしまいました。この為予備的に開発していた川西製作所の機体が急きょ艦上戦闘機の有力候補となり、三式艦上戦闘機“陣風”として制式に採用されることになった訳です。 陣風は昭和18年(1943)3月に試作機が完成しましたが、海軍が焦ったためか直ちに2,000機を発注、生産に入ることになりましたが、艦政本部としては機体はなるべく小さく、できれば零戦並の大きさで大鳳級空母に80~90機を搭載したいという要求があり、機体の小型化という意向が前面に出てきました。つまり陣風11型ではまだ大きいと判断されたのです。



全長10.1m × 幅12m(折りたたみ時:5m) × 全高4.12
エンジン:誉52型空冷複式・過給機付き18気筒   2350馬力
プロペラ:4翼   最大速度:710km/時  上昇限度:13600
航続距離:2300㎞  
武装:長20㎜機関砲 × 2門        12.7㎜ × 2門 
400kgまでの爆弾: 1発   5吋ロケット弾(焼夷弾) ×4発 

  川西はエンジン部を除いて再設計に掛かり、ほとんど別の機体を昭和187月までに完成させました。操縦席が少し後方に下がり、尾翼部分の直前が60㎝程短縮されました。これは一種の“賭け”でしたが幸い、エンジン関係が先に生産に入っていたため生産はほぼ予定通り8月末から開始され、19年の米海軍の反撃(マリアナ・トラック海戦)には間に合いました。

 



全長 9.55m × 幅11.2m(折りたたみ時4.2m) × 全高4.12m
エンジン:誉52型空冷複式・過給機付き18気筒    2350馬力
プロペラ:4翼   最大速度:720/時    上昇限度:13600
航続距離:2250
武装:長20㎜機関砲 × 4門     500kgまでの爆弾 ×1
5吋ロケット弾(焼夷弾又は榴散弾) × 4