53.航空母艦 G-14

  801号 安芸  呉工廠   昭和2004.11竣工
  802号 摂津  横須賀   昭和2008.15竣工 
  803号 甲斐  三菱長崎  昭和2311.23

この空母は 史実では第5次海軍軍備充実計画で改大鳳型(5021号艦)に次ぐ、装甲空母として計画された空母で
    ・排水量(多分基準)  45,000~50,000㌧
    ・搭載機数         63機 補用21機
    ・艦番号           801~803号艦
の3点だけしか資料がありません。トン数から言えば“ミッドウェー級の対抗馬であり、補用21機とあるから装甲空母で、やはり敵陣近くまで進出して味方機の中継基地的任務のあたる空母ということが推測できます。本稿では実在した”大鳳“を改翔鶴型空母建造のため葬り去ってしまいましたが、あの雄姿は捨てがたくG-14でより大型化した空母として復活させたいと思っておりました。今回はこれに挑戦してみました。
空母G-14を推測するためには、同時期に計画された米空母“ミッドウェー”と英海軍が最後に計画した“ジブラルタル級”空母の両者を調べるとその概要が分かるのではないかと考えました。計画トン数が両空母とほぼ同じなのでG-14を推測する手掛かりになると思ったのです。下記がミッドウェーの要目になります。  

【ミッドウェー要目】
 基準排水量47,387㌧ 満載排水量59,901㌧
 全長295m ×水線幅34.4m(最大幅41.5mパナマ運河不可)×吃水10.5m  深さ(船体17.5m・飛行甲板25.6m) 
 飛行甲板高さ15.1m(エセックス級17m;波浪が飛行甲板を洗う)
 機関:ボイラー12缶 蒸気タービン(53,880馬力×4基)215,500馬力
 速力33㌩ 15㌩で15,000浬 (搭載燃料6,000㌧)
   装甲:水線部左193㍉ 右178㍉(多層式中央4区画:対20cm砲)
   デッキ:51㍉ (船底3重底)

   飛行甲板長さ281.6 m × 幅34.4 m × 高さ5.3 m
   油圧式H4-1カタパルト ×2基
   格納庫1段  広さ;長さ210.9m ×29m × 高さ5.3m 装甲88.9mm 

ということで1942年半ばにはこの構想で基本設計がされていたそうです。まったく米国の工業力いや国力は恐ろしいほどです、かないませんね。エセックス級と同時にこの大型空母を建造するわけですから・・・。ニューポートニュース造船所で建造している様子を見たかったです。しかもこのクラスは6隻も計画されていました。

もう一つは英国が計画した正規空母の決定版“ジブラルタル級”です。英海軍が戦後に完成させた“イーグル”と“アークロイヤル”はこの空母より一つ前の“オーダシアス級”です。ジブラルタル級は計画のみの空母で、その点はG-14と同じですが、左舷側に2基の舷側エレベーターを設けたり、2000ポンド(900kg)爆弾に対応するため飛行甲板を178mmという装甲で固め、重心上昇を防ぐため格納庫を開放式にする等、米海軍のエセックス級を参考にして英海軍なりのアレンジを施した空母となりました。ミッドウェー級、ジブラルタル級そしてG-14は第2次大戦の戦訓を活かして各国がたどり着いた“レシプロ機を搭載する空母”の頂点であり完成形だと言えるでしょう。ジブラルタルの要目は以下のようになります。

【ジブラルタル級要目】
   基準排水量46,900㌧ 全長279.3m × 全幅35.4m × 吃水10.5m
   機関:蒸気タービン 4軸200,000馬力 速力32.5㌩
   飛行甲板277.1m × 全幅41.5m(サイドエレベーターを含む)格納庫1段
   装備:11.4cm連装高角砲 × 8基

以上2艦と比べながら我海軍のG-14を計画してみると以下のようになりました。

【G-14級要目】
   基準排水量47,000㌧ 満載排水量60,000㌧
   全長約290m × 全幅35m × 吃水10.5 m
   機関:艦本式タービン55,000馬力 ×4基 220,000馬力   速力 33㌩
   飛行甲板285m × 全幅36.6m(最大幅76.4)艦首部幅26.5 m 
   飛行甲板高さ16.15m(吃水線より)  エレベーター4基(舷側×2基)
   格納庫:1段  広さ200m × 幅29.5 m × 高さ6.6 m
   搭載機:16試戦闘機(烈風の後継機)×70機 艦攻・爆流星 ×50機
   補用10機 合計130機 
   舷側装甲:対20cm砲弾
   飛行甲板装甲:対500kg爆弾95mm(中心部の長さ230 m×幅30mを装甲化)



この想定に基づき計画図を2案考えてみました。

第一案は改翔鶴型である本稿での“大鳳型”の拡大型であります。110機の搭載が可能なように船体は290 mになりました。前部は大鳳後期型の“若狭”がエンクローズドバウになって就役しましたがこの計画では翔鶴級と同様、飛行甲板と艦首は分かれています。“若狭”は翔鶴型の艦首を無理やりエンクローズド化したため米空母“レキシントン”に似た形になってしまいましたが、ハワイ以東の海域は比較的波が穏やかなので計画作成時にはこの艦首が選ばれました。
 一番重要な飛行甲板の装甲は500kg爆弾を想定し20mm+63.5 mm=83.5mmとなり、前後のエレベーターの間に装着して重心の上昇を防いでおります。攻撃されても発艦、着艦に必要な飛行甲板の長さを確保して、更になお攻撃機の発進を可能とするという発想です。このため艦幅は35mとなりました。
 エレベーターは左右舷側部にそれぞれ1基を設け、前後に2基を装備しました。この方法は後にエセックス級が改造された時に採用された方式ですが、ジブラルタル級が左舷に2基のエレベーターを装備しているのを見て急きょ、それなら左右の方がもっと有効になると考えたからです。舷側エレベーターには装甲は施されておりません。左右の舷側エレベーターで転用が効くはずですから…。重量は100㌧を越えています。ただ本艦は旧海軍が想定した前方に展開する攻撃隊の中継艦として考えられたものではなく、あくまでも機動部隊の中心に在る攻撃空母です。
 格納庫はエセックス級と同様開放式であり、高さ6.6mを確保しました。16試戦闘機乙が双発機であったということに起因しています。この機は後に部隊間の乗員輸送用になったことを申し添えます。



上図があの大鳳を大型化した計画艦G-14の完成バージョンです。実艦は大鳳より1.5層ほど高さが増えておりますので大鳳ほどの長大な印象がありません。むしろ英海軍のアークロイヤルに似た印象になりました。でもやはり大鳳の艦型にしないとしまりませんね。本艦を創作するため“歴史群像の大鳳・信濃”を参考にさせていただきました。中でも平野鉄雄氏の”大鳳vsエセックス同時代空母比較“は優れた資料となりました。工業技術、製品の品質そのものが米国とは比較にならなかったのは事実でしょう。でもこの世界の日本はかなりいけてる国家になっており、諜報活動も活発でしたのでミッドウェー級についてもかなり詳しく情報が入手できましたし、エセックス級にいたってはほぼ解明しておりました。その結果が改翔鶴級の一番艦”大鳳“となったわけです。したがって格納庫内の爆圧を逃がすという考えは舷側式エレベーターやシャッター式の大型舷側扉の採用で解決していました。
 機関はボイラーを含めて4層の防御層で囲まれ、その中にはガソリンタンクも含まれております。3重底の範囲も前部ガソリンタンクから後部爆弾庫まで徹底したものでした。また、揚爆弾筒は飛行甲板まで達しており直接弾庫に通ずるような事はなくなっております。海軍でも艦爆(流星攻撃機)は250kg爆弾ではなく、500kg爆弾を採用しておりましたので対爆弾には相当気合が入っておりました。
本級で狙ったのは沈みにくい艦として建造されました。ために必要以上に対空兵器を装備しなかったのです。この時点では護衛艦艇にかなり対空対潜能力を依存することができたため本艦は航空母艦として行動すればよいという状況になってきたからです。
98式長10cm高角砲は電探と射撃指揮装置の一体化によりさらに精度を増し、発射機構の自動化により速度も30発/分に向上しております。戊式40mm連装機銃も同様です。本級では25mm機銃は廃止され、12.7mmマウザー機銃がハンガー式の砲架で用意されていました。各装備が充分に能力を発揮したためこのような兵器の搭載になったのです。 
 大戦には全く寄与しませんでしたが、戦後の日本を代表する航空母艦としてアジアの共栄と安定に貢献したことは間違いありません。この艦は戦後も改造を経て長らく活躍します。いずれ改造後の本級を発表したいと思います。ミッドウェー並みに改造するのが楽しみです。


上図は慣熟訓練中舞鶴湾で目撃された新鋭空母”安芸”と護衛に当たった駆逐艦”清潮”の勇姿です。
海軍は昭和17年5月までに、日本海を囲む対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、千島列島海域の全てを機雷封鎖することで一大訓練海域を完成させました。ミッドウエー海戦以降は舞鶴沖海域からウラジオストックにかけての広大なこの海域で、新造の空母やその他の艦艇は訓練を重ねて巣立って行きました。樺太や満州での石油発見が日本海の内海化を実現したのです。